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潮流の中の島々ー3 [アリューシャン]




  6月11日 AKUTAN ISLAND


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  有視界飛行のグースはアクタン島の海岸線をなめるように飛ぶ

  1週間後私達はカヤックでここを漕いでいるはずの所




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  遠くに見えるのはアクウン水道

  太平洋の北の端とベーリング海を結ぶ水道

  アリューシャン列島の潮の干満による潮流はことのほか速く

  この2km弱しか幅がない水道は、最高12ノット

  kmで換算すれば22km/hを超える速さがあるということだ

  世界中の多くの船乗りが嫌ったアリューシャンの海峡と水道




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  グースはゆっくりと右旋回してアクタンハーバーに入っていく

  60数人が住むという村が見えてくる





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  着水!!

  拍子抜けするようなスムーズな着水

  パイロットの腕が良いのも勿論だろうが

  勝手に荒々しさを想像していたこちらの問題か(笑)




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  コックピット前のフロート部分とキャビン後ろが貨物室

  結構多くの荷物を運べるもんだ

  むろん搭乗時は体重も聞かれて、それもカウントされる




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  村の中は木道が敷かれている

  樹木が全く生えていないアリューシャンの地は多くが湿地か岩肌

  整備されてはいても雨が降ればぬかるんで歩けなくなってしまうのだろう

  本来ならばこの日からキャンプの予定だったが

  ジェフがウナラスカから連絡してくれて

  素敵な屋根の下で寝る事ができる

  その村に1つあるゲストハウスに向かう




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  村の中での移動は小型4輪バギーを使う

  端から端まで歩いても15分とかからないような小さな村だが

  荷物を運ぶには重要な戦力だ



  1軒だけある村のレストランが今日は休みだ

  飛行艇で一緒だったアリュートの女性が特別な計らいをしてくれた

  それは村から20分ぐらい離れた所にある鮮魚缶詰工場の社員食堂での食事

  そこには数百人が働いているのだろうか

  宿舎が並び、世界中からの出稼ぎの人々が働いている

  カニカマ、筋子、明太子・・・・・・それらもここで作られる

  「何処から来た?」と問われ

  「日本からだ」と答えれば

  ここには日本人の技術者もいるぞと言われた

  彼に出会う事はなかったが、こんな場所が日本の食を支えている

  チケット制のカフェテリアだが

  食べる事は重要な楽しみなのだろう

  質量も充分で美味しい!!

  しかし、そこで働く人々がアクタンの村に来ることは稀だろうね









  ついに私達はカヤックのスタート地点に着いた

  海の具合さえ良ければ明日スタートができる




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  先ずは2本繋ぎになっているパドルを1本にする必要がある

  南富良野の匠はその技を見せ付けた



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  きっちりと組み合わさり1本になったパドル




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  ダボに硬木のプレートを当てて寸分の緩みも無い




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  タコ糸でしっかりと巻けば今回の5本のパドルが出来上がる

  予備パドル2本を加えて7本

  全てがアリューシャンスタイルの長く細いパドルだ



  シーカヤックは大きく2つのスタイルに分かれる

  アリューシャンスタイルとグリーンランドスタイル

  勿論現代ではレーシングカヤックも含め多くのスタイルがあるが

  源流をたどればこの2系統だろう

  多くの荷物を積み長い狩猟の旅に出るアリューシャンスタイル

  機敏で運動性に長けるが荷物が積めないグリーンランドスタイル

  パドルもこの2者では異なる

  



  6月12日


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  午前中はカヤックの組み立てと荷物の分配

  村人も興味深そうにやってくる

  ただ1人のポリスマンも2度目にはカメラを持ってくるんだから(笑)

  その時の愉快な話もあるのだがそれは後日又




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  アリューシャンに来て始めて見る青空

  そんなに離れていないのに

  島々で気候は随分と違うようだ


  

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  今日は開いている村のレストランで腹ごしらえをしたら出かけよう

  私達のカヤックの旅が始まる




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  すこぶる速い潮流の中の島々へ





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  左下の島がウナラスカ島この島は大きな島だ

  真ん中上がアクタン島、ここまでグースで飛んだ

  右上がアクウン島

  各島間の水道の狭さが判っていただけると思う

  この3島は、古代アリュート達が最初に住み生活を始めた島々

  私達はアクタン島を出て、アクウン島を回り

  海峡を横断してまたアクタン島北部へ

  北部を西へ向かい、ウナラスカ島までの航海に出る





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   時間がゆるせば グーグル・アースなどでご覧頂けましたなら

   私達がどのような所に行って、漕いできたのか

   多少なりとも感じを掴んでいただけるかもしれませんね













  

  

  
  




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コメント 20

よしあき・ギャラリー

もう、PC画面にかぶりついています。 ^^
原色が、自然にとけ込んでいますね。
by よしあき・ギャラリー (2009-07-05 06:00) 

jinn

まるでTVのドキュメント番組をみているようですね。
paceさんの文章も、とても伝わるものがあります♪
by jinn (2009-07-05 09:02) 

BPノスタルジックカーショー

おはようございます。

この暗さがアリューシャン?
このグースに乗りたいですね。
by BPノスタルジックカーショー (2009-07-05 09:31) 

お茶屋

ホントjinnさんも記されているように
情熱大陸みたいな感じです☆
by お茶屋 (2009-07-05 11:56) 

がぁこ

パドルもやっぱり現地で組み合わせるんですね~
はめ込み式で建てられた神社とか思い出しました(゚ー゚*)
いよいよ出発ですね~こっちまでワクワクしてきます!(>v<*)
by がぁこ (2009-07-05 12:48) 

okko

着水の瞬間、味わってみたいです。
知らない生活が、世界のあちこちにまだ、山ほどあるのですね
by okko (2009-07-05 14:31) 

Go-Ray

グースの着水が、実は冒険の始まりなんですね!
といいつつ、60年以上前にアリューシャンを飛んでいた飛行艇や水上機達の、
悲しい歴史を思い出してしまったりして…
その時のパイロットが見たアリューシャンの大地も、今と変わらないのでしょうね…
陳腐な言葉ですが、自然の凄さをまざまざと感じさせられます。
by Go-Ray (2009-07-05 14:34) 

guran

思わず見入ってしまいました!
すごいですね^^
これからが楽しみです。
by guran (2009-07-05 17:24) 

あきら

空がすごくあおいですね~。空気もちがうかんじ。
今度地図見てみます・・・。
by あきら (2009-07-05 21:04) 

yogawa55はやぶさ

野生のシャチが棲息していそうです。
by yogawa55はやぶさ (2009-07-05 21:10) 

sig

写真が本当にすばらしいです。
ウッドデッキが舗装代わりというのはすてきですね。
いちばん自然に叶っているかも。
いよいよ冒険の始まりですね。すごいなあ。
by sig (2009-07-05 22:09) 

GT-FOUR

パドルではなく、ブレードがながーい!(^^
ながーいとは思っていましたが、並べると一目瞭然ですね!
カヤックの上にビン!?コワイ!(^^;未開封のシーバス初日の夜いきなり割って、隊長さんの楽しみを奪ったことを思い出してしまいました!(o_ _)o
by GT-FOUR (2009-07-05 22:33) 

てんとうむし

paceさんの旅の話をすると、アウトドア派の姉の目がキラキラしてとーーーっても羨ましがるんです^^
by てんとうむし (2009-07-05 23:44) 

吟遊詩人41

荷物は意外とコンパクトに・・・トレーラーが必要ない訳ですね^^
by 吟遊詩人41 (2009-07-06 00:17) 

Pace

青空の1枚がとてもインパクトありました。(’’)
着々と準備が完了し、これから海へ出るのですね!
わくわくと、先のお話が楽しみです!
by Pace (2009-07-06 01:09) 

ヘ音

カヤックって長旅が出来るんですね
面白そう
でも、素人がいきなりは無理ですよね
素晴らしいところですね
水上に着陸する飛行機乗ってみたい
by ヘ音 (2009-07-06 05:19) 

いっぷく

見慣れない道具やシーカヤックの構造とか、じっくり眺めて想像しています。
by いっぷく (2009-07-06 08:22) 

mykaira

何故か・・・10年前、ボルネオ島の奥地へ行ったことを思い出しました・・・。マリンジェットで川下りの旅の取材で同行、今思えば、自然を大事にする気持ちを込めてカヤックでするべきだったな・・と。
by mykaira (2009-07-07 00:33) 

ケイクス

引き込まれてしまいました。。。
やはり体験した方が語る迫力が
ひしひしと伝わります。
by ケイクス (2009-07-08 00:36) 

kiri

着水なんて、自分は人生で経験できるかどうか・・・
そんな飛行機、日本で乗れるとこありましたっけ・・・?
by kiri (2009-07-13 05:54) 

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