潮流の中の島々ー13 [アリューシャン]
6月21日
私達はカレクタベイの一番奥にカヤックを引き上げた
数年前、隊長は別ルートでアリューシャンを独りでカヤックの旅をした
その時にこの湾で暮らす夫婦と犬に出会った
ベンとスージー
私達がウナラスカ島ダッチハーバーで聞いた消息
ベンは7ヶ月前癌で他界していた
そして、後を追うように愛犬も亡くなったという話であった
夏の間彼らが住んだその地を訪れる
私達に新たなミッションが出来た
彼女の元を訪れる事
無線連絡で私達が訪れる事は伝えられていた
多分この週末ぐらいだろうと思っていたと
午後になると双眼鏡で湾の入り口の方を見ていたのだという
湾の最奥部に彼女の家の屋根が見えたとき
そのすぐ前に彼女の赤いウィンドブレーカーが見えた
勿論水道も電気も来てはいない
ジャイアント・ケルプと早い潮の流れでたどり着くのも簡単ではない
流木に頼っていた燃料だけはプロパンガスに変わったようだがね
素敵なクリーク
その清流の鮮烈な冷たさと静かな味
小高い丘の上の家
ミニマムな生活
H.D.ソローの「森の生活」を思い浮かべるかもしれない
頭で判っている憧れ
そんな現代人の自然への憧れなどは木っ端微塵だ
地に足の着いた生活がそこにあった
ピクチャーウィンドウからはカレクタベイ
その窓からは白頭鷲の巣が見える
雛の巣立ちを見守るのだと言う
ストーブに薪をくべ
温かいお茶で私達を迎えてくれた
植物と鳥の研究家でもある彼女は本も出している
そんな本を日本でも手に入れる事は出来る
Wildflowers of Unalaska Island: A Guide to the Flowering Plants of an Aleutian Island
- 作者: Suzi Golodoff
- 出版社/メーカー: Univ of Alaska Pr
- 発売日: 2002/10
- メディア: ペーパーバック
植物に暗い私だが
今回の旅の写真で知った花の名前はこの本から知った
ウッドデッキにテントを張り
今夜も寝床は平らだ(笑)
秋にはこのクリークは
遡上する鮭でいっぱいになる
レッドサーモンの紅色の背中で
このクリークは赤く染まる
お風呂も素敵ななんだ
ドラム缶を下のボイラーで薪を燃やしてお湯を作るんだ
そのお湯はバスタブにつながる
バスルームの小屋の外にはクジラの骨
小さな畑で採ったグリーン
キュウリの香りのする葉
ゴマの香り、にんにくの香りがする葉
トマトは高級な内地産だよ(笑)
この地では収穫も出来ない
リンゴやオレンジも食卓には並んだ
彼女は言った
私達が訪れたのは週末のビッグプレゼントだと
島々を旅してきた私達は
今日が日曜日であることすら知らなかった
自然と共に生きるってこういう感じなのかな~
と、素人ながらすごい事だと感じました。
by jinn (2009-07-21 01:41)
日本の中ではあるけれど、山海川とさまよって色んな出会いがありました。
アリューシャンなんて素敵なところをカヤックで旅して、素敵な出会いがあるなんて!
きっと、中身の濃い充実した会話を楽しまれたのでしょう。
隊長の3回のアリューシャン遠征ルートを確認しました!そして今回のルート!
最高ですね!パドルの接合部分のタコ糸は遠征中切れることはなかったのでしょうか?
by GT-FOUR (2009-07-21 02:23)
とってもステキなところですね。
こんな所に住んでると身も心も豊かになりそう。
by 響 (2009-07-21 02:50)
なかなか、言葉が出てこないものですね。
この環境で、独りの生活、犬すらいなくなった。
機密性の高い家なのでしょうが、
嵐の日、寒い日、・・・
強い人ですね。
荒涼とした感じは、ワイエスの絵を思い起こしました。
by よしあき・ギャラリー (2009-07-21 05:27)
おはようございます。
まるでおとぎの国に迷い込んだようですね。
光も良い!!
by BPノスタルジックカーショー (2009-07-21 06:20)
この地で、このトマト。赤がすごく印象的でした^^
by guran (2009-07-21 06:54)
鯨の骨のオブジェ。違和感がありませんね。
by nikkin (2009-07-21 08:25)
北方の光ですね。
北欧の作曲家の音が聞こえそう
by obasan (2009-07-21 09:17)
今回は一変して、1本の木も見当たらない陸上の風景。
そこで一人で生きる女性。
ほんとに単なる自然礼賛など吹き飛んでしまう生活でしょうね。
お風呂と洗濯機がいっしょ。ほほえましいですね。
ても、そこには白頭鷲の子育てや、
クリークを埋め尽くす鮭の遡上が見られるのですね。
自然の最高の贈り物ですね。
いつもながら、ため息が出るほどいい写真だなあ。
by sig (2009-07-21 10:05)
「週末のビッグプレゼント」
とっても素敵で嬉しいお言葉ですね♪
by お茶屋 (2009-07-21 10:41)
いい景色と雰囲気ですね。
by Krause (2009-07-21 11:12)
ここに女子一人で・・・危ないです~!
by 吟遊詩人41 (2009-07-21 13:14)
冷え症で喘息持ちの私には一生無理な世界です・・・
もうみるだけで夢一杯になります。すごい・・・
by kitazawa (2009-07-21 13:31)
最高の景色ですね!
窓から、こんな景色見れるなんて羨ましいです。
by SIBA (2009-07-21 14:22)
薪をくべてお風呂を沸かしていたおばあちゃんを、
思い出しました^^
by hatsu (2009-07-21 14:36)
あのような自然の中でシャケでも獲って過してみたいです。
家はどうやって建てたのか?風呂や暖炉はどうやって運んだの?
by 旅爺さん (2009-07-21 14:47)
イトウとかもいそうですねo(´▽`*)/☆
by emuzu (2009-07-21 15:47)
いろんなことを想像してしまいます、人は強いですねー! 週末のBigプレゼントという言葉、ただ生活している我々には与えられないのでしょうね。
by めもてる (2009-07-21 16:18)
心をギュッとつかまれるような感動があります
by engrid (2009-07-21 16:54)
物語を読んでる雰囲気になってきました☆
素敵な出窓から見える自然たっぷりの風景をいつも眺めていたんだろうなぁ~
こういうところ行ってみたいーー(>v<*)
by がぁこ (2009-07-21 17:25)
自然が一杯。^^
by こうちゃん (2009-07-21 17:40)
ここに行くpaceさんもすごいが、ここに一人だけでお住まいなんてすごい方ですね。
確かに訪問者はビッグプレゼントですね。 トマトなどは最高級のおもてなしでしょう。
by kotobuki1946 (2009-07-21 19:19)
彼の地に住んでおられる方がいらっしゃるのにビックリ
夏の季節は良いでしょうが、冬はそれこそ大変なのでしょうね
by 駅員3 (2009-07-21 19:24)
景色良いですね!
自然が最高です。
by masa (2009-07-21 20:18)
辺境の地での暮らし・・・
憧れますが実行はなかなか出来ないですね~。
by RADA (2009-07-21 20:30)
「アリューシャンの魔女」ですね。
by てんとうむし (2009-07-21 21:01)
pace様のブログ、、、尋ねるのが楽しみ。
こういう冒険が出来る人が羨ましい、、、
冬以外は、、、住んでみたいですね(^_-)-☆
by ハギマシコ (2009-07-21 21:13)
良い写真ですね~。澄み切った空気まで伝わってきます。
by あきら (2009-07-21 21:50)
人との出会いこそがビッグ・プレゼント。
改めて気付きましたよ!!^^)
by jon_bovi (2009-07-21 23:28)
「地に足の着いた生活がそこにあった」自然と闘って暮らす人々がいる、感動です。
by mwainfo (2009-07-21 23:58)
日々タフ。
けど人恋しい。
垣間見るのは素敵だけど、自分は夢の中だけ。
by Marjo (2009-07-22 02:23)
窓から見えている緑も、冬になれば真っ白に
なるのですよね(’’)
厳しい自然の中での生活…上手く想像できません…。
はるばる日本からの来客は”ビックプレゼント”という
表現以上の感動があったことと思います。
by Pace (2009-07-22 21:00)
無駄なものをそぎ落として
ぎりぎりのところで生きている
人っているんですね。凄いな。
by ケイクス (2009-07-23 01:25)
一つ一つがとても魅力的だけど
冬はたいへんなのだろうなぁ
by 春分 (2009-07-24 22:44)
ソローの「森の生活」、アメリカ文学の時間に読みました。ウォーデルン?っていう場所でしたっけ?ここは、そういう感じなんですね、なるほど!
by TaekoLovesParis (2009-07-25 22:03)